東京粉末では、昨年よりプロテインを主体とした栄養食品の開発をしておりまして、この春〜夏頃の発売を予定しております。いきなり食品!?と思われるかもしれませんが、これには私たちなりの失敗から学んできた理由と想いがあるのです。
タンパク質の重要さ
「爪が割れやすいんですよ」「僕、筋肉が付きにくいタイプなので…」「指皮が裂けると治るまで時間かかるんですよね」「ムーブはできるようになるけど、強くなっている実感がない…」
こんな会話を聞いたことがあったり、ご自身の経験で思い当たる節があると思います。多くの場合、これらはタンパク質が不足している兆候です。
ご存じのとおり、クライミングは無酸素で最大筋力を発揮するムーブを連続で行う、強度が非常に高い運動です。日常的な運動をしない人でも1日体重x1g、高強度の運動を日常的に行うクライマーのような人の場合は1日体重x2gほど(※年齢・性別による)のタンパク質が必要と言われています。体重の増加を気にするクライマーにおいては、まず足りていないでしょう。足りない結果、前述のような兆候が出てきます。
中でも最も重要なポイントは「筋肉が付きにくい」という症状で、クライミング中に使っている筋肉が、力を出すために消費する量のタンパク質を蓄えていないため、他の筋肉を分解してタンパク質として消費する現象に強く起因しています。このため、筋肉が付かないどころか減少しているのです。強くなりたくてハードなトレーニングをしているのに、実はムーブに慣れているだけで、体の筋肉量は減少し、疲労は溜まり、筋力は弱くなっている可能性があるのです。逆に、十分なタンパク質を摂取できていた場合、使用した筋肉は正常に回復し、成長し、筋力が高まります。これは非常に大きな差になります。私は15年以上、このような非常にもったいないトレーニングをしてきました。そして、未だ多くのクライマーが同じようなトレーニングを繰り返しています。
「筋肉はキッチンで作られる」。筋トレ界隈では有名なアーノルド・シュワルツェネガー氏の言葉です。私たちは、この事実をクライマーのみなさんに伝えたい。そして、できることなら、楽しくタンパク質を摂取する、必要量を勉強する、楽しく筋トレメニューや筋肉を自慢するような流れを作っていきたいと思っています。
東京粉末プロテイン
現在、クライマーに適したプロテインパウダー、クライミングの合間に手軽に食べれるプロテインバーを開発しております。完成は春〜夏あたりになる予定です。この数ヶ月間、数段の大きい壁にぶち当たってきましたが、ようやく製造の目処が経ち、こうしてお知らせすることができました。
タンパク質は3大栄養素で特に重要で摂取が難しいもので、栄養の基本です。同じように、1年を通したトレーニングの周期にも基本があります。(ここでもクライマーは常に減量+全力全開。リカバリーも増量もナシが当たり前なのは自明)。タンパク質は、健康的なクライミングについて見直す、はじめの一歩です。
私たちの取り組みや製品をきっかけにして、1人でも多くの強くなりたいと思っているクライマーに、栄養とリカバリーの大切が伝わり、力強く健康的なクライミングライフを送ってもらえれば、一介の粉屋にとってこれほど嬉しいことはありません。
また、こうした栄養食品も、それにまつわる基本的な知識やアドバイス、そしてそういった新しいコミュニケーションが、クライミングジム・ショップの一つの魅力になっていけばいいなと願っております。商品完成の目処が経ちましたら、改めてTwitterや、お取引ページなどにてアナウンスさせていただきますので、続報をお待ちください。
(山本)
参考文献や論文は山ほどありますが、いくつかピックアップしてリストしておきます。興味がある方は、Youtubeで「タンパク質不足」「トレーニングと栄養」などと検索してみると論文まとめなどたくさん出てきますので見てみてください。