Environmental initiatives

この写真は、東京粉末の工場より自転車で数分のところにある森です。
市街地の中に浮かぶ「トトロの森」。首都圏を代表する重要な自然環境です。


クライマーに限らず、人は常に自然環境と密接な関係を持っています。
そしてそれはほぼ、自然にとって良いことではありません。

私達はクライミングチョークを製造・販売するにあたり、 自分達がどのくらい自然環境に負荷をかけているのか知る必要があり、
その負荷を上回る環境対策を講じてこそ、私達が持続的にチョークを製造・販売することが可能になると考えます。


環境への負荷とは

私達が製造販売にあたり軽減できる自然への負荷を考えた時、どういった活動をしていて、それがどういう基準で環境への負荷を与えているのかを考えなければなりません。もちろん製品の使用の際に岩や自然に与える影響がどうであるのかは身近な問題ですが、それに加えて生産・販売活動自体においてかかっている自然への負荷について考えてみました。

私達の活動は、商品の開発・製造・販売です。それらの作業工程を見ていくと、まず原材料の消費から始まり、製造過程での水道・ガス・電力の消費、チョークが完成したらその包装が必要で、最終的に産業廃棄物が排出されています。完成品は各販売店に配送されますが、配送にかかる梱包材をはじめとする輸送や販売の際にも消耗品が必要です。営業活動や出張、納品においてはガソリンを使用します。

この活動の中で、直接的に環境に負荷をかけているのを実感できるのは産業廃棄物。ゴミです。燃えないものは明確ですが、燃やすものは温室効果ガスを排出し環境に負荷を与えます。温室効果ガスには様々なことが言われていますが、そもそも私達は生きている限りどんな形であれ環境に負荷を与え続けるのです。だから、せめて自分達のかけているであろう環境への負荷を知り、それより少しでも多く環境への貢献ができるのであれば、それに越したことはありません。


環境負荷を抑えるとは、使うものを少なくする。ゴミは出さないようにする。程度のことしか考えつかず、その成果は微々たるものです。出てしまうゴミを完全に無くすことはできませんし、材料を減らすこともできません。他の工程においてもゴミと同じく原材料や電気水道ガス、その他消耗品から交通費まで、その全てにおいて販売量と比例して増加していくことを避けられません。

もちろんそれ以前の問題として私達の製品を使用することによる直接的な環境負荷についても考えなければなりませんが、それは製品開発の段階で取り組むべき問題として分離し、こういった生産工程による環境負荷への対策について探る為に、一般的にカーボン・オフセットと言われている取り組みについて考えてみることにしました。
カーボン・オフセットとは、「日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせる」(※)という考え方です。

CO2排出量の調査

私達はまず、業務上発生するCO2排出量について調べました。
そして調べ始めてすぐ、自分達が1つの製品を作るだけでどれだけ多くの工程で環境に負荷をかけているのかを知りました。例えば材料に関して販売元から話を聞き、それらが生成される過程やその原材料を採集する際の負荷など、一つ一つの工程を紐解いていき、ある程度の数値が出ても、それは底の見えない海のようなもので、考え、仮定していくと際限がありません。そこで、どうしても判明できない部分については予想数値として、平均よりも多い量で試算し、ひとまずの合計を数字として出しました。
よって私達の調べた限りの排出量は決して正しくはありませんが、それをひとつの目安として、カーボンオフセットに対する取り組みを始められることとなりました。

まずは排出量の削減から始めました。そうは言っても、削減が難しいものがほとんどで、炭酸マグネシウムの製造、またパックやボトルといったパッケージ製品は、各産業での製造であり、生産数が増える程増加していきますので、現時点では現実的に削減できるものではありません。私達が削減可能なものでやはり一番排出量の割合が高いのが電力でした。生産上、色々な機械を使いますが、まずはその頻度や作業工程を見直すことから始めました。また、梱包材や廃棄物による排出量も想像より多く、梱包材は主に異業種の会社などから出る廃棄物を集めて使用することにより転換させ、廃棄物も可能な限り他業務で再利用することで排出量を抑えました。

2014年では、東京パウダーの活動における年間の総排出量が約10t(運送業者分除く)で、そのうち自社内の活動(電力・水道・材料以外の資材・廃棄物・自社配送燃料・暖房器具燃料・消耗品)で排出されるのが約8,500kgとなっています。原材料となる炭酸マグネシウムの製造にかかった排出量が約7,500kgをしめ、その他の材料調達やパッケージ製造が約1,100kgでした。

日本人ひとりが1年間に排出するCO2は約10トンと言われます。現時点では生産量も少ないのでこの程度に納まっていますが、今後生産量が増加すると共に排出量も比例していくことは明らかです。もちろんこれらの数値はあくまで参考値であって、現実ではありませんが、どの分野において前年よりも削減が可能なのかを考える為の指針にはなります。可能な限り環境負担をゼロに近くする為に、作業工程や物の使い方を見直していくことは、私達が活動を続けていくにあたり、永遠の目標であり義務だと考えます。


- 2013 to 2014

総生産量 使用材料 包装材 電気 水道 ガス 梱包材 廃棄物 燃料 総排出量
2013 3000.00 1849.00 367.82 111.00 47.41 90.00 1.20 64.30 31.95 2562.68
生産量の% 61.63% 12.26% 3.70% 1.58% 3.00% 0.04% 2.14% 1.07% -
総排出量の% 72.15% 14.35% 4.33% 1.85% 3.51% 0.05% 2.51% 1.25% 100.00%
2014 12200.00 7520.64 829.47 407.00 94.82 210.00 3.00 201.14 110.76 9376.83
生産量の% 61.64% 6.80% 3.34% 0.78% 1.72% 0.02% 1.65% 0.91% -
総排出量の% 80.20% 8.85% 4.34% 1.01% 2.24% 0.03% 2.15% 1.18% 100.00%
前年比 406.7% 406.7% 225.5% 366.7% 200.0% 233.3% 250.0% 312.8% 346.7% 365.9%
生産量の% 100.02% 55.45% 90.16% 49.18% 57.38% 61.48% 76.92% 85.25% -
排出量の表についての補足
生産数の増加に伴って作業工程を統一できるので、前年比は下がります。総排出量中の割合を見ることで、その分野の削減が進んでいるのかを判断できるようにしました。例えば電気は3.70%から3.34%に下げられています。梱包材と廃棄物も再利用によって半分~3/4ほどになっています。生産量は内容量のおおよその合計値で、生産量に対して各分野がどれだけの割合を占めているのかという基準を出しました。この中でも絶対に削減できない「材料」の割合を生産量・排出量の中で上げていくことが目標となります。2013-14年、生産量比では変化なしでしたが、排出量比では8ポイント上がっています。包装については生産量と比例するはずですが、前年比でかなり下がっていました。この理由については、ボトルよりパックの割合が増加した為、数値が下がっています。ボトルの方がパックよりも環境負荷が高いということがわかりました。すべての排出量の単位はkgです。


- 2015

以下は2015年の排出量計算です。排出量を排出権に換算することが疑問視され、適切な環境コストを算出することは非常に複雑で理解が難しくなりましたが、大切なのは環境のことを考え、どれだけ環境の負担を下げられるかということであり、前年からの試みがうまく機能しているのか、もしくは新しい課題は何かという目安にするために、2014年と同じ指標を用いて算出しています。

総生産量 使用材料 包装材 電気 水道 ガス 梱包材 廃棄物 燃料 総排出量
2014 12200.00 7520.64 829.47 407.00 94.82 210.00 3.00 201.14 110.76 9376.83
生産量の% 61.64% 6.80% 3.34% 0.78% 1.72% 0.02% 1.65% 0.91% -
総排出量の% 80.20% 8.85% 4.34% 1.01% 2.24% 0.03% 2.15% 1.18% 100.00%
2015 43675.00 25993.67 1388.87 999.00 224.12 0.00 53.40 603.41 532.50 29794.97
生産量の% 59.52% 3.18% 2.29% 0.51% 0.00% 0.12% 1.38% 1.22% -
総排出量の% 87.24% 4.66% 3.35% 0.75% 0.00% 0.18% 2.03% 1.79% 100.00%
前年比 358.0% 345.6% 167.4% 245.5% 236.4% 0.0% 1780.0% 300.0% 480.8% 317.8%
生産量の% 96.55% 46.77% 68.56% 66.02% 0.00% 497.22% 83.80% 134.30% -
排出量の表についての補足
全体を見ると、BLACKの高評価を得て、2015年は生産量が358%となり、CO2の総排出量は317.8%と抑えることができました。大きな要因としては、生産工程をまとめていくことによって、消耗するエネルギーを抑えることが可能になり、無駄な資源の消費を減らせたことが明確になりました。反対に、出荷量の兼ね合いで新品の梱包資材を使用したことで、梱包材に関する排出量が急激に増加しています。しかしながら梱包材の全体の割合は0.18%に過ぎず、材料の入荷時に得られる梱包資材をリサイクルしつつ、使用するサイズを細かく分けることでこの数値をキープしていくことが可能かと考えています。

なお、2015年の総排出量が約30t、昨年と比較するために同じ排出権価格で計算すると、30,272円となりました。しかし、この排出権価格は一般的に1トンあたり4200円が基準であることが多いということがわかりました。昨年分を計算し直すと、42,000円、今年度分は126,000円となります。実は、私たちは現在もなおこの金額以上のオフセット手段を決められておりません。例えばカラマツ1本を植林するのに必要な金額は1,000円ほど。この1本が30年間で吸収できる二酸化炭素量は約250kg。合計で126本を植林し、それらが30年間で吸収できるCo2は31.5t。しかしながら、この植林というのも難しい問題で、カーボンオフセットのための植林がもはや利権を伴うビジネスとなっていることも否めません。私たちはできるだけ早急に信頼できるオフセットパートナーを探し、対策をしていかなければなりません。

< 追記 >
原材料の生産工場では、主材料の生産時に排出されるCO2を製粉の工程で反応させて再利用する上でMgCO3を製造しております。よって、MgCO3の生産時に必要とされるCO2については解消されていると考えられます。厳密なCO2消費量の数値は企業の生産上特秘にあたるので明かせませんが、東京粉末としてオフセットしていくCO2排出量からは排除することができると言えることがわかりました。これらは2016年度からの試算に反映させて参ります。



- UP DATE 2016

以下は2016年の排出量計算です。比較のために、2014,15年と同じ指標を用いて算出しています。

総生産量 使用材料 包装材 電気 水道 ガス 梱包材 廃棄物 燃料 総排出量
2016 36268.85 21016.97 499.94 1184.00 353.42 0.00 72.00 403.49 532.50 24062.32
生産量の% 57.95% 1.38% 3.26% 0.97% 0.00% 0.20% 1.11% 1.47% -
総排出量の% 87.34% 2.08% 4.92% 1.47% 0.00% 0.30% 1.68% 2.21% 100.00%
2015 43675.00 25993.67 1388.87 999.00 224.12 0.00 53.40 603.41 532.50 29794.97
生産量の% 59.52% 3.18% 2.29% 0.51% 0.00% 0.12% 1.38% 1.22% -
総排出量の% 87.24% 4.66% 3.35% 0.75% 0.00% 0.18% 2.03% 1.79% 100.00%
前年比 83.0% 80.9% 36.0% 118.5% 157.7% 0.0% 134.8% 66.9% 100% 80.8%
生産量の% 97.36% 43.35% 142.72% 189.89% 0.00% 162.36% 80.52% 120.42% -
排出量の表についての補足
2015年のCo2排出量の算出後に判明した炭酸マグネシウムのオフセットに関しては、今回は比較検討のために用いず、すべての原材料を使用材料に計上して算出しています。
2016年の全体の生産量(=生産した製品の重さ)に関しては83%減少しています。これはSMALLパックやBOOSTなどの小量製品の発売開始に伴っていて、代わりに機械や水道の使用頻度が上がり、電気・水道に関しては排出量が上昇しました。また、廃棄物の大半を占める材料自体の梱包材が減少し、同じく製品に使用するパッケージの面積が小さくなったことから、包装材についても減少しています。材料に関しても、今まで使用していた石油系アルコールを、再生可能なバイオマスアルコールに変更しました。

生産量は減少しましたが、出荷量が上がっているので、2015年度に懸念した梱包材については2016年度は前年比1,34倍になり、出荷量に比例して上昇しました。梱包材の再利用もしくはより環境不可の少ないものを早急に検討しなければなりません。生産量・出荷量は増加していくことが常であり、会社として存続する以上必然の目標ですが、それと環境不可が比例するのは必然ではありません。努力と試行錯誤を怠らなければ反比例させることも可能です。同じように今後電気・水道に関しても、より効率良くエネルギーを使える仕組みに取り組んで参ります。
また、この結果から炭酸マグネシウムの数値を除くと、総排出量は16%程度まで激減します。そうなるとこの表が機能しなくなってしまうので、2017年からは今一度仕切り直して考えていきます。


自然環境の回復への対策

私達の製品の源である炭酸マグネシウムは海水から作られます。海水の質が変化してしまえば、我々の求める純度の炭酸マグネシウムの製造はできません。最適な純度かつ結晶の均等なマグネシウムでないと高品質のチョークは製造できません。自然環境が悪化すれば、私達は良い製品を作り続けることができなくなってしまいます。

弊社の製品に使用されている原材料はほぼ全て天然由来です。※ロジン(松脂)は使用しておりません。例えばアロマオイルは教育機関でも利用される高品質なものを使用していますが、その品質は全て植物に依存します。自然へのダメージをまず始めに受けるのが植物です。そして動物。アロマオイルに限らず、私達の生きる為に必要なあらゆるものが自然に起因しています。 (同)東京粉末が一つの企業として自然環境の回復に取り組むことは、自分達の製品品質保全と向上はもちろん、私たち自身がごく普通に生活する為でもあります。

今よりずっと前から、海では様々な変化が起きています。東京を始めとする全国各地の海や川から鰻が消えたことなどあまりに有名です。一方、山に目を向けると、世界では森林の減少が止まらないようです。急激な森林破壊の主な原因は、先進国による商業伐採とプランテーション開発と言われています。途上国で伐採された木材の大部分は先進国へと運ばれ、大量消費されています(※)。プランテーション開発も消費に対する商業的な結果です。つまるところ原因は全て私達消費者といっても過言ではありません。

私達は2013年から、一つの対策としてCO2排出権の価格と照らし合わせて、その分を環境の保全に役立てる方法を選びました。
多めに見積もって現在の東京パウダーのCO2排出量が10t/年。2014年12月のCO2排出価格が7.56ユーロ/トンで、総額が75.6ユーロ=11,113円(147円/1ユーロ)となります。(2015年の調査を受けて、)一般的基準に照らし合わせて4,200円/t、総額は42,000円。(2015年分と合算すると168,000円)で、ひとまず算出した金額を基準に、これ以上の額面を自然環境回復の為の団体などに寄付することや、地域での環境保全活動への支援、そして自分達の手と足を使って行える方法などを模索していく、という方法です。
※2016年に主原料である炭酸マグネシウムについてはオフセット済みであることが確認でき、現在は異なる排出価格を算出して使用しています。

しかし、そもそもCO2排出権というのは、CO2排出を抑えた国から買い取る権利に付いた金額で、金融商品のようなものです。中身も制度も複雑で、理解が難しい。第一、今回算出した金額を使って、同じ量のCO2の回収ができるかというと疑問です。森林の育成はお金はもちろん多大な労力と時間を必要とします。ましてや私達がかけている環境への負担は温室効果ガスだけではありませんし、考え方によってはどこまでも広範囲になりえます。調べれば調べるほど、これらの環境負荷をお金に換算して考えることは不可能だと思ってしまうのです。

そういった考察を経て、第一歩として自然環境への貢献方法の一端として数値としてわかりやすいCO2排出量以上の支援という方法を選択し、森林の育成にかかわる様々な活動を積極的に行っていく方針としたのがこの試算表の目的です。

(同)東京粉末は4名のとても小さい会社ですが、小さい故に、自分達のできることを考えて考えて選択しては修正し、一つ一つ挑戦していくしかありません。今後も、常に自分達が与える環境負荷を熟考し、より実現的で健全な方法で環境回復・保全に役立つ行動をその都度選択し、実践して参ります。

Like a climb

目標は、私達一人一人がこの世界に貢献すること。その手段として東京粉末があります。
小さく未熟な企業であっても、大きな可能性があることを感じています。

この一連の取り組みから私達は多くのことを学んでいます。
環境について考え、できることをやっていくことが、実は環境だけでなく、業務の効率化やスキルアップ、
なにより励みになり、それは間違いなく製品の品質向上へとつながっています。


目の前の問題を浮き上がらせては解決していく。
新しい課題を見つけては乗り越える。
その過程こそが成長の源であると気付く。

どんな物事も、クライミングのようにシンプルなのかもしれません。